< 尾州とは? >
愛知県北西部に位置する尾州産地は、織物の産地となっています。
(主に愛知県一宮市 岐阜県)
木曽川の豊かな水と肥沃で温暖な濃尾平野の恩恵があり昔から織物業が盛んに行われてきました。
尾州産地は、世界3大毛織物産地と言われ
イギリスの「ハーダスフィールド」イタリアの「ビエラ」
そして日本の「尾州」です。
糸から織物に至る工程が地域に集結し分業体制を確立しているのが最大の特徴といえます。毛織物産地として国内生産の約8割を占めスーツ生地の梳毛織物やコートジャケットなどの婦人、紳士の紡毛織物などが有名です。
他にもシルクやコットン、リネンなどの天然素材を中心に複合織物の他ニットまで展開する総合産地です。
< 原料から製品になるまでの生産の流れ >
紡績工程 (糸をつくる工程)
原毛→洗い→ほぐし(ガード)→伸ばす(インター•コーマ)→巻く(トップ)
→細く伸ばす(前紡)→糸の太さに撚る→2本に撚る(合糸•撚糸)→糸染め
織布工程 ( 生地をつくる工程)
経糸を整える→整経→そうこう通し→おさ通し→横糸準備→織り(製織)→検反
整理加工(布を加工する工程)
毛焼(けやき 焼く) →洗絨 (せんじゅう 洗う) →煮絨(しゃじゅう 煮る)
→縮絨(しゅくじゅう ちぢめる) →反染め(たんぞめ)→脱水→乾燥→
起毛(毛羽をだす)→せん毛(せんもう 刈り揃える)→蒸絨(蒸す) →仕上げ、検反
デザイン→パターン制作→生地、副資材調達→サンプル制作→修正→展示会
→製品→販売
梳毛織物 (そもうおりもの)
毛足の長い繊維を使い、細くて毛羽立ちが少ないことが特徴です。
梳毛糸で織った織物が梳毛織物です。
薄地〜中肉で織り目がはっきりしたものや表面に毛羽をだしたものがあります。
紡毛織物(ぼうもうおりもの)
毛足の短い繊維を使い、配列が比較的不規則で太めであることが特徴です。
紡毛糸で織った織物が紡毛織物です。
中肉〜厚地で表面に毛羽があり、ざっくりとしたものが多く主に
ジャケットやコートに使用されます。
< ションヘル織り機 >
ションヘル織り機は、ドイツのションヘル社の織機が
伝来し製造された国産のシャトル機です。
多くの織物工場が革新織り機を導入し生産コストダウンに進む中
ションヘル織り機にこだわる理由は手織りの風合いを保つ為です。
よこ糸はシャトル(舟形の器具)に入れて運ぶことで糸の太さの組み合わせに関わらず織ることができる万能織り機です。
上下に大きく開口し低速で織り上げていく為
たて糸に強いテンションがかからず
柔らかくふっくらした風合いが生み出せます。
< ガラ紡績機 >
明治初期に日本人にて開発された木製の糸を紡ぐ機械。
綿を詰めた筒を回転させ上に向かって引き伸ばしながら糸を巻き取っていくと
いう手紡ぎの原料を動力化した独創的な方法で糸を紡ぎます。
その為、空気を含みやすく柔らかく軽い糸が完成します。
毛足の短い紡毛糸に適しており
環境に配慮したオーガニックコットン綿を使用しています。
ガラ紡績機は、稼働しているのが世界で数台のみとなっており1日に生産できる糸も限られている為、限定地域のみ流通しています。
木全毛織 https://kitamakeori.co.jp
紡績機 日清ニット所有
< 自動横網機 >
ニットの各パーツを編んでいく機械です。
データのプログラミングや、編みの微調整の技術はまさに職人技です。
ニッターさんの経験やセンス、知識があって初めて編んでいただけます。
パーツの縫製は、ニットの編地を縫い合わせる方法 "リンキング”で縫い合わせていきます。
< リンキングとは? >
リンキング作業は人間がひと目ひと目ひろって刺していく方法です。
ずらりと並んだリンキングマシンの針にドッキングさせ、両方の編み時を1本1本の針に
ひと目ひと目刺してつなぎ合わせます。
熟練のプロはいとも簡単に目を拾っていきますが
目落ちをさせないように、ひと目ひと目刺すのはとても大変です。
リンキング技術は貴重な財産です。
残念ながらリンキングができる熟練者が高齢化して
どんどん少なくなっているのが現状です。
生産が海外に移り工場が閉鎖したり
倒産したりして仕事自体が少なくなり仕事が途切れた機会に止めてしまう人も多いです。